2016年1月22日金曜日

夢枕獏風にSMプレイを語る

眠れないので12時まで、15分だけブログを書こうと思います

タイトルの通りです。


夢枕獏氏の「神々の山嶺」が映画化したのでそれっぽく書いてみたくなったのか、SMの話をしたいいけど普通に書くのが恥ずかしいから茶化しているのか、実話なのか、創作なのか、まぁその辺はご想像にお任せします…

あとこのブログをチェックしている一部の人は気付いたかもしれませんけど、独自ドメインをとってみました。
これからは今までのhashimotochan.blogspot.jp と hashimoto.ml の両方からアクセスできます。


何かが引っかかっている。
違和感であった。
理沙を初めて見たときから、違和感が自分の目につきまとっているのである。
霧のような感覚。

その霧を突き抜けて、理沙が目の裏にいる。
 

じわり──
と、体の中で、何かこわいものが広がってくる。
何だ!?
これは何だ!?
そう己に問うたのも一瞬であった。
答えはすぐに出た。
ああ、なんだ。 

この人も、きっと──
それだけのことであった。 


カラコンとは違う、目に秘められた光。
知らぬ者が見れば、仏具にしか見えないストラップ。
そして、あの手首の動き。

彼女はサディストであった──
理沙がそれを直接話すことはなかったが、その知識がある者であれば、それは容易に見当がついた。

話さずに、わかってくれと所作で訴える。
橋本の目には、理沙自身がサディストでありながら、鎖に縛られているように見えた。

ただひとり、ただひとりだけの事を見つめ、睨みつけていると自然に感情が希薄になってゆくような気がする。
心の中の猥雑物が、ひとつずつ時を重ねるにつれて消えてゆき、心も、肉体までも透明になってゆくようであった。






 理沙と目が合う。
 ああ。
もはや言葉はいらなかった。
膝の上に手を置いて、ただ座っている。
あの呼吸、あのリズム。

理沙──
橋本の心臓が鳴った。

「1520円です」
タクシーは環状線のほうへ消えていった。
橋本は理沙とふたり、そこに取り残された。

 テーブルの鍵、灰皿、ミネラルウォーター。

理沙はもうどこにもゆかない、どこへも逃げない。
ここはそういう場所であった。

「さっきのことなんだが…あんたのこと、聞いてもいいか」
「何?」
「楽にならないと言っていたが、それはどういう…」
「わかるでしょ」
「…」

理沙の言うとおりだった。
橋本は理沙の輪郭の全てを知ろうとするあまり、言葉に頼りすぎていた。

そうだ-
男と女には、どういう会話の方法よりも雄弁な会話の方法がある。

「やってくれ」
橋本が言った。

理沙はゆっくりと立ち上がった。
理沙の目に、自分が映っている。
「いくわよ」
理沙が言った。


ああ、これで俺は楽になれるのだな。もう考えなくて済むのだな。

理沙が右手を振り上げる。すぐに右手が振り下ろされる。
理沙のブラウスに、蝶の刺繍がされていた。左手には赤と黒のネイル。
一瞬の間であるはずなのに、そういう事が目に焼きついているのがとても不思議に思えた。


-ビィィィィン!

衝   撃  。


その後のことは記憶にない。




まぁ15分だとこんなもんですかね… 若干オーバーしましたが。
「神々の山嶺」 とても面白い本なので是非読んでみてください。


それでは、また!